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コラム

第1回 2009年 年頭雑感
   

新年あけましておめでとうございます。
「めでたい」という語感と程遠い気分で新年を迎える方が多い正月かもしれません。
昨年の経済界は波乱に満ちた年でした。
もし前もって正確に予測したアナリストがいたとしたら「頭がおかしい」と言われて、誰にも相手にされなかったに違いありません。
「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、予測の範囲を超えて変動するのが現実の経済だと思い知らされた1年でした。

そして2009年は満場一致で『不景気』なスタートになりました。

一体どうしてこんなことになってしまったのでしょう。「サブプライムローンに端を発する・・・云々」という庶民にとって訳のわからない、聞き飽きた説明はさておき、日本の製造業が何故これ程迄に打撃を受けることになったのでしょう。
日本の自動車や家電等の大企業の多くは何年もの間、おおむね増収、増益を繰り返してきました。
日本市場が飽和状態になると海外に市場を求め、何か問題が起こってもリストラやコストダウンで乗り越えてきました。 その手法が時にはやや乱暴であっても、従業員や下請け会社は抵抗の余地もほとんど無く、結果としては大企業の収益を支えてきました。
大企業の経営者の多くは、増収増益を自らの手柄だと勘違いし、本来水平飛行の計画を立てるべきところも、あくまで右肩上がりの計画を立て、まるで「ゆるやかなネズミ講」みたいで、破綻しそうになってきてようやくその事に少し気づいて、大慌てで大リストラを行おうとしています。

企業というのは、収益を上げ、株主に利益をもたらすということ以前に、社会を豊かにする要素であるという理念が必要な筈です。
人が豊かに暮らすために世の中の様々な組織やシステムは存在しているハズです。 私が残念に思うのは、大企業のトップ達のコメントから『豊かな社会を築く要素となる』といった気持ちがカケラも感じられないところです。
「自分のこと、目先のこと、金のこと」しか考えていないように見えます。
その目的の為にここ何年間もの間、まるでニシキのミハタのように「合理化」「コストダウン」というワードを連発してきました。 多くの現場で涙ぐましい程の努力をし、まるで乾いた雑巾を絞るようにして製造工程のロスタイムを無くしてきました。
ある自動車会社は完璧なまでにロスを無くし、そのシステムは多くの見学者を感嘆させる程の物でした。
他の多くの企業もそのシステムを見習い、無駄を無くし《合理化》に努めてきました。

物事にはオモテとウラの両面があります。 完璧なシステムは、その分融通が利かない面があり、一つ歯車が狂うと全てがおかしくなってしまいがちです。 時の流れの中でいつでも激変の可能性があるならば、ここはひとつファージーな対応ができる人間の能力に改めて期待してはどうでしょう。
思えば大量生産、大量販売の構図の中で、魅力のないものがあふれていた気がします。
心のこもった商品が無くなっていた気がします。 この十数年、何かと便利にはなりましたが、忙しく、ストレスの要因が増えるばかりで豊かになった感じがしません。
人間が働く事実によって、その分豊かな生活を得ることは決して難しいこととは思いません。
様々な困難の中でも、一人ひとりが意識して明るく、前向きに、心を込めて仕事をすることが何より重要だと思います。

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