映画やドラマで電話のシーンを見ると時代がわかる。ダイヤル式の電話はこれぞアナログという感じで、無線のモールス信号みたいに接触の回数で数を伝えるというシンプルなものでした。9とか0とかは戻る前に結構時間がかかったけど、さほど気にならない時代でした。もちろん電話をかける以外の情報伝達は出来ないので、競馬の電話投票なんかもオペレーターとやり取りしていたはずで隔世の感があります。 ある時ついにバッテリーの軽量化に成功し、携帯電話というこの画期的なツールは爆発的に普及します。メモリーの高性能化とともに通話以外の機能も充実し、最新のものは一昔前から見ればまさに「魔法のツール」と言えるでしょう。殆どの人がそれを当たり前の物として持ち歩き、むしろそれ無しでは生活できないに近い状況になっています。 今日の状況に至ったのは、販売戦略やメールに代表される多彩なサブ機能の充実もありますが、何と言ってもバッテリーの軽量化を成し得たからだと思います。技術革新とその普及というのは画期的な原理をいかに普及しやすい形に出来るかが重要で、その為には壁にぶつかった時、ブレず、諦めず、逃げずに真摯に研究し乗り越えるか、もしくは見切りをつけて諦めるかしか選択肢はありません。途中でブレて本来の目的とずれたところでお茶を濁したりすると、その関連の技術の発達そのものが阻害されてしまいます。 環境問題によってクローズアップされている燃料電池というものがあります。画期的なもので、多くの企業が研究開発に参入しています。理論は画期的で実践可能なものですが、実際に作ってみると小さな装置ではほんの少しのエネルギーしか生み出しません。小さな羽を回すことは出来ても、大きなものを動かしたりたくさんのお湯を沸かしたりするには結構巨大な装置か、投入する原料自体が純度の高い、その前段階でエネルギーを大量に使って精錬されたものになってしまいます。つまり、大きさのパラドックスに陥っている感じで壁を感じている人も多い筈です。 いずれ石油は枯渇するかもしれません。今すぐ普及するには難しくても、例えば原油1バーレル200ドルになったらこのシステムの出番ですということでも良いから完成度の高いシステムを開発してほしいと思います。
|
||
|
||