軽機開発株式会社|コラム

HOME >> コラム一覧 >> コラム

コラム

第6回 時空サーフィン
   

 ウサギとカメのパラドックスをご存知でしょうか?
「カメはウサギより前からスタートするので、ウサギがカメのスタート地点についた時にカメはそれより進んだA地点にいる。ウサギがA地点についた時にカメはそれより進んだB地点にいる。この繰り返しなのでウサギはカメに追い付けない」というもので、うっかりナルホドと納得してしまいそうですが、この話は時間の経過を無視しています。実際には時は流れ、一瞬にしてウサギはカメを追い越してしまいます。


 何かを考える時、人はこれと同じように時間の流れを適切に折り込めないことがあります。向こう3年間の会社の経営を考えてその間の支出が幾らなんて考えたら、手持ちのお金や受注残でとても足りなくて一体どうしようかと悩んだりします。でもその間にはきっと新しい受注や販売があるでしょうから大抵の場合何とかなっていくものです。時間を止めてマイナスの事柄の推移だけ先の分を考えると、いつだって絶望的な気持ちになってしまいます。


 最悪の事態を想定してなんて言いますが、それは現況から常識的な範囲の推移の中で振れ幅の下を考えるという事で、時間の流れの中で先に何か起こるかは誰にもわからない訳ですから、想定した最悪の事態よりもっと悪いことが起こってしまう可能性もある訳です。だからと言ってそんなことはキリがないので、頭のほんの片隅にそんな事もあり得るという程度に認識しておけばいいのです。というか良くも悪くも未来にはあらゆる可能性がつねにあることを思考の基本認識として時々思い出していれば怖いものはなくなるかもしれません。


 最近よくアスリートの間などでイメージトレーニングという言葉を聞きますが、狙って成功する様子を完璧なまでにイメージし続けます。それを繰り返すことによって自分の中で認識し、不安やプレッシャーをとり除き、そして本当に成功するのです。一昔前ならそんな暇があったらもっと練習しろとコーチに言われそうですが、近年はメンタルトレーニングの重要性が指摘されています。アスリートに限らずビジネスの分野でも成功のイメージを描き続けることが成功する為に必要だと言われています。「願えばかなう」みたいな事でしょうか。


 様々な社会現象のマスコミ報道を見ていると、どうも良いイメージよりも悪いイメージが先行し、それが定着しそうで明るい気持ちになりにくい感があります。
 根拠のない楽観には問題もありますが、悲観ばかりしているよりはいいかもしれません。根拠はなくてもうまく行くと信じて、様々な局面での対処を楽しむくらいの余裕があった方が結果うまく行くような気がします。


 ある時点で時間を止めて考えるのではなく、時間の流れに乗っている事を感じながら変化する波の様子に刹那、刹那で舵を切り、軌道修正する「時空サーフィン」的な思考法がいいような気がします。
 社会全体としては情報収集から対策までのタイムラグは避けられませんが、個人の頭の中なら限りなく瞬時にできる筈です。立ち止まって考えるのではなく、歩きながら考えるのです。

 

  イメージ1
 

イメージ2